朗読夜in静岡 2004年5月16日
桑島法子 〜hitori gadari〜



 今回の朗読夜は初開催となる静岡です。当日はあいにくの天気となってしまいましたが、雨の東名高速を刹那の蒼さんの車でikusuさんと西へ向かいます。午前中にすでに会場を確認してときみつさん、葵さんと合流し、食事を済ませた後、再び会場を確認。開場まで一時間ほどもあるので多少周辺をぶらついた後、開場時間までまだまだ時間があるのですが、会場で話でもして待っていようということで五人でかなり早めに会場入りします。外はいまだに雨、待っている間はいろいろと話が盛り上がりました。
予定されていた時間よりも少し前に開場となり、とりあえず入ってすぐ設置されているグッズ売り場でグッズを物色しました。前から買おうと思っていた手提げ袋(500円)と、その場で気に入ったファイルセット(1000円)を購入。一度会場のホールの中の席に向かいました。席は後ろの方の真ん中辺りでしたが200席ほどの小さなホールだったのでなかなかのいいポジションだと思います。荷物を置いてまたホールの外へ。友人と連絡を取って、頼まれていたお土産に手提げ袋を決定してもう一度売り場の列に並びます。やっと売り場の方までやってきたとき声をかけてきてくれた女性がいました。Kirikaさんでした。初めてでしたのでまず握手し、もう開演時間も近いので、簡単に自己紹介をして席へと戻りました。席に戻ってみると声をかけてきてくれたのがグッチーさんでした。グッチーさんとも挨拶をしてまた後で、ということで別れました。とりあえず細かく予定を決めていたわけではなかったので、このお二人と会えたのはとても嬉しかったです。開演時間が迫ってメモを取るための紙とペンを手にします、もうドキドキです(笑)


〜開演〜

 「ブー」というブザーの後に諸注意的な放送が流れます。だんだん暗くなって、舞台の背景はスポットライトを浴びて青く浮かび上がっています。いよいよかと思って緊張気味にその舞台を見つめて法ちゃんが来るのを待っていました。
やがて左の舞台袖から法ちゃんがゆっくりと現れ、会場から拍手が起こります。中央まで来て観客席に向かって深々と一礼、そして会場は虫の声のBGMに包まれました。


雁の童子

若者が砂漠の縁の泉で出会った老人に、そこに建っている真新しい祠の曰くを聞くという、聞き語りスタイルの物語です。
この中で何人もの子どもたちが出てくるんですが、やはりその演じ分けはすごいですね。


 作品の朗読が終わって、会場が一瞬の闇に包まれ、また明るくなり、法ちゃんが一言「お目覚めですか(笑)?」。会場もドッと笑いがでて一瞬で和やかな雰囲気になりました。「静岡の皆さん始めまして、始めましてじゃない人はお久しぶりです。」と、最初に観客席に最高の先制パンチを見舞ったトークが始まりました。
 「雁の童子」は、法ちゃんが中学時代から朗読してきた作品で、賢治の作品でも宗教色が強い作品で法ちゃんにも分からない部分があるんだそうです。砂漠の縁で老人と若者が会うところなどは「一期一会」といった感じで、人生はその積み重ね、朗読もそう、とおっしゃっていました。「ちょっと不思議な(笑)作品でした。」と括られました。
 「次は眠くならない話を(笑)」ということで次は「猫の事務所」の朗読が始まります。


猫の事務所

猫の歴史と地理を調べる、猫が運営する、猫の事務所のお話です。
この作品に出てくるおもな登場人物(動物たち)は事務長の黒猫、一番書記の白猫、二番書記の虎猫、三番書記の三毛猫、四番書記のカマ猫と依頼者、
そして獅子なのですが、ここでもやはりキャラクターの演じ分けに感動すら覚えます。
特に私のお気に入りは一番書記の白猫の声でしょうか(笑)
重厚感のある事務長に、かわいい猫たち、そしてさらに、最後に出てきた獅子の声はとても凛々しいものでここでもまたすごいなぁと思いました。
ときたま脇に置かれたタンバリンでドアを開ける音などを表現されていました。
この作品は法ちゃんが言ったように活気があって、内容も難しくはないので眠くはならないですね(笑)


 「いかがだったでしょうか?」という言葉でまたトークが始まります。「普段は関東で400〜500人くらいの会場でやってます。今日はお客さんが近くてちょっとドキドキ(笑)」
 次に「鹿踊りのはじまり」の紹介が始まります。この作品は法ちゃんも非常にお気に入りなのだそうです。


鹿踊りのはじまり

六匹の鹿と、置き忘れられた手拭のお話です。
手拭を置き忘れた嘉十に聞こえる鹿の話している言葉は岩手弁なのですが、やはり普通にはわかりにくいですね。
置き忘れられた手拭が一体何なのかおっかなびっくり悩んでいる鹿たちを感情と愛嬌たっぷりに表現していて、コミカルな作品です。


 作品が終わると大きく、長い拍手の中、法ちゃんが舞台袖へと退場します。そしてしばらくしてもう一度拍手の中舞台へと戻ってきました。「プログラム上は終わりですが(笑)」、もう二つ、詩をやるとのことです。「静岡は初めてでしたが、また来てみたいです。アンケートは励みになりますので書いていってくださいね。」と言ったのでアンケートに何を書こうかなぁと考えます(笑)
「え〜っと最後はですね。何を読みますか(笑)」といいつつ手元にある台本(?)を繰っていきます。というわけで「永訣の朝」と「原体剣舞連」を朗読することに会場に告げると、その思い出と説明を話しました。法ちゃんの父親が友人から借りたソノシートに影響を受けたそうです。
「あまり天気がぱっとしませんで(笑)本当は晴れ女なんですが。体調などには気をつけてください。」そう法ちゃんが言うと、会場からも笑いが起こり、和やかなうちにトークが終わりると、客席は闇に包まれ、舞台では法ちゃんがスポットを浴び、最後の二つの詩の朗読へと入りました。


永訣の朝

原体剣舞連

 「永訣の朝」、「原体剣舞連」につきましては定番ですのでコメントはしません。後日談ですが、この二つの詩の朗読の間、法ちゃんが泣いていたらしいのです。私はそこまでは気づきませんでしたが、たしかに間の取り方がいつもよりもずっと長いように感じていました。たぶん永訣の朝のほうだったと思うのですが、その間を取っているときに扉が開く音がしたのでよく覚えています。
 二つの詩の朗読が終わって、法ちゃんが、まず舞台の真ん中、さらに舞台の左右で、最後にまた真ん中で観客席に深々とお辞儀をして法ちゃんは舞台袖へと、大きく長い拍手の中、下がっていきました。


〜終演〜

 千葉の時もそうだったのですが、とにかくこの二時間は本当に終わってみると短く、早く過ぎていったように感じました。そして、また来たいと思いました。もらっていた紙と法ちゃんの話からすでに次回の朗読夜は横浜で行われると知っていましたから、もう次も行こう!と決意していました。
 ホールから出ると、またKirikaさんとグッチーさんに会うことができました。そしてKirikaさんから台湾のお菓子をもらって、Kirikaさん、グッチーさん、ときみつさんと記念撮影をしてKirikaさんとはお別れしました。その後、グッチーさんを加えた最初のメンバーと会場を出ると、金龍盆さん、ヘリオンさんたちから連絡がきて、合流して食事に行くことになりました。
 この八人で料理店に向かって食事をとりました。いろいろと話が盛り上がり、一時間ほども話をしてからお開きとなりました。店を出てからしばらく歩いて、関西新幹線組の方たちと、別な場所に車を止めていたグッチーさんと別れ、私は刹那の蒼さん、ikusuさん、金龍盆さんと刹那の蒼さんの車に向かいました。そして帰りの車の中ではまたいろいろな話をしつつ帰りました。
 帰ってきて、かなり疲れましたが、本当に楽しかった!と思えました。朗読夜の内容はもちろん、いろいろな方々と会え、そしてお話ができて本当に楽しく、思い出に残る朗読夜でした。


平成16年5月25日

(by 黒田信親さん)

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